こんにちは。しんせつなペイト(@sinsetunapeito)です。
透明水彩にとって一番重要な要素である紙。水彩紙の特徴を知っているのと知らないのでは、上達の仕方に顕著に差が出ます。
今回は、自分の勉強の意味も兼ねて水彩紙の種類についてまとめていきたいと思います。
奥深き水彩紙の世界、ぜひご堪能ください!
水彩紙の選び方について
水彩紙を選ぶときのポイントは、こちらの4つです。
- 紙の原料(コットンorパルプ)
- 目の粗さ
- 厚さ
- 明るさ
どれも重要な要素なのですが、特に一番目の紙の原料は絶対に押さえておきたい一つです。
水彩紙の原料について
そんな水彩紙の原料について。大きく分けて、コットン・パルプ(木材パルプ)・その他に分けられます。今回は代表的なコットンとパルプの紙について見ていきます。
コットンパルプ
コットンパルプの紙は、名前の通りコットン(綿)の繊維で作られた紙です。水彩ユーザーがコットン紙というとき、コットン100%の紙を指すことが多いです。
作るのに手間がかかるため、他の材質の水彩紙と比べると価格が高くなりますが、保水性に優れ、表面が強いため重ね塗りにも耐えてくれます。
また、コットン100%の紙はぼかしがキレイにできるものが多いです。
とても綺麗にキャラクターの肌を塗ることができますよ~。
ここまで書くと、「コットン100%の紙って万能じゃん…!」と思われる方も多いと思いますが、実はコットン紙にも苦手なことがあります。
それは、保水性に優れている分、絵の具が染み込んでしまって後からやり直しがしにくいという点です。
色を塗りすぎてしまったり、意図せず色がはみ出してしまうというのはよくあります。すぐに気づいて色を拭えば大丈夫ですが、一晩置いて乾燥させてしまうと中々色を取ることが難しいです。
ちなみに、色を拭う技法を水彩ではリフティングと言います
というわけで、コットン100%の紙はこういった人におすすめ。
- 絵の具を何回も重ねる
- 水を大量に使う
- リフティングはあまりやらない
ペイトもその1人なので、ここぞと言う時の絵にはコットン100%のものを使っています。
■代表的なコットン100%の水彩紙
アルシュは値段もぶっちぎりで高いのですが、使っただけで色塗りがうまくなったような気がする魔法の紙です。水彩ユーザーに一度は試してみてほしい紙。
ウォーターフォードは価格もそこまで高くなく、使いやすい優等生の紙。コットン100%をとりあえず試してみたいときはウォーターフォードを手に取ると良いでしょう。
木材パルプ
木材パルプの水彩紙は、こちらも名前の通り木材の繊維からできた紙のことで、パルプ紙と呼ばれています。
木材パルプ100%のものよりは、コットンと配合されたものが多いです。コットンと配合することで、より使いやすくなっています。
保水性はコットン100%のものに比べると劣り、ぼかしなどはあまり綺麗にできません。
逆に言うと、絵の具が紙の表面に留まってくれるので、後から修正がききやすいです。水彩境界もガンガンできるので、水彩境界を活かした作風にも良いでしょう。
↑こちらのイラストは、あえて水彩境界を残しながら塗った絵。面白い表現になります。
また、表面強度が強いのも特徴の一つで、消しゴムを掛けてもそこまで紙に影響が無いものが多いです。マスキングにも耐えてくれます。
ペイトは水彩紙に下書きを直接描いて着色に入るタイプで、消しゴムもゴシゴシ掛けます。このやり方をすると、コットン100%の紙はあっという間に表面が削れていきます…笑
消しゴムでサイジングが取れちゃうので、塗り心地が最悪になります笑
そんなわけで、パルプ紙がおすすめな人。
- 水彩境界を目立たせたい
- リフティングをよく使う
- 水彩紙に直接下書きを描く
■代表的なパルプ配合の水彩紙
実家のような紙と言われるホワイトワトソン。コットンとパルプの混合紙です。水弾きが強く、水彩境界が出やすいですが、強度が強いため重ね塗りにも耐えてくれます。
ヴィフアールはAmazonを始め東急ハンズなどでも見かける水彩紙です。価格も安く、水彩紙の入門にぴったりです。表面はそこまで強く無いので、マスキングなどは難しいです。
水彩紙の目(細目・中目・荒目)
水彩紙の紙肌も、水彩紙を選ぶ上で重要です。主に細目・中目・荒目の3種類に分かれています。
メーカーによっては中目でも細目の様になめらかだったりするので、注意が必要です。
細目:ペン画など緻密な線を引くときに
細目(さいめと呼ぶそうですが、ほそめと呼んでいる人がほとんどな気がしますw)は一番表面が滑らかな紙になります。
水彩紙の目特有の凸凹がスキャンで出づらいので、イラストをスキャンして別の用途で使いたい場合などにオススメ。
また、引っかかりも少ないため、ペンとの相性も良いです。
コミックイラスト界隈では、細目を使っている人をよく見ますね
参考画像として、ストーンヘンジアクアの細目の紙で描いイラスト。
中目:使いやすい万能の紙
中目は、水彩らしい表現と扱いやすさの両方を備えた紙になります。一番人気と言っても過言ではなく、コミックイラスト・人物画・風景画、あらゆるジャンルで使われています。
どのメーカーの紙か完全に失念してしまったのですが、中目の紙の参考として…
荒目:大胆な表現をしたいときにおすすめ
三種の中で一番表面の凸凹が強いのが荒目になります。
クセが強いので人を選ぶと思いますが、面白い表現が出来るので個人的に好きです。
特に、分離色を使う時にオススメで、かなり分かりやすく分離してくれます。
こちらはコットマンの荒目を使って描いたイラスト。目の凸凹の中に、顔料の粒子が入り込んで鱗のようになっているのが分かると思います。
なお、上記のイラストはGT-X830というスキャナーを使っているため、紙の白い部分は凸凹の影を消してくれています。
こちらは複合機のスキャナーを使ってスキャンした絵。色を置いていないところは紙の目の凸凹がそのままスキャンされています。
正直、あまり綺麗には見えないので、描いた絵をスキャンしたときも考えて紙を選ぶと良いでしょう。
水彩紙の色について
水彩紙には、真っ白なものから黄味がかったものまで様々な種類があります。
紙が白いと明るくはっきりした印象になり、黄味がかった色だと落ち着いた雰囲気になります。
思った通りの色が出ないというときは、紙の色が作風と合っているかも確認してみてください。
水彩紙の厚さについて
水彩紙には必ず厚さの表記があります。坪量で表記されることが多いですが、それは紙1枚・1平方メートルあたりの重量になります。
水彩紙の場合、水をたっぷり使うことが多いため、300gの厚さのものがオススメです。
綴じ方の種類
水彩紙の綴じ方にも色々ありますので、自分の描画スタイルにあったものを選ぶと良いですよ。
スケッチブックタイプ
絵を描く紙…と言って思い浮かぶのがスケッチタイプのものでは無いでしょうか。
厚い表紙に覆われていますので、持ち運びに丁度よく、何より見た目がかっこいいです。
ただし、紙の厚みが少ないものだと、水を多く使う描き方では紙が波打ってしまう可能性も。
その時はスケッチブックから切り離し、水張りすると良いです。
ブロックタイプ
ブロックタイプは、四辺が糊付けされているため水張り不要なタイプの水彩紙になります。
とはいえ、ブロックタイプでも水をジャバジャバ使うと波打ちます笑
その時は水張りを(以下略)
持ち運んで使うよりは、家でじっくり描くのに向いてるかなと思います。
パッドタイプ
パッドタイプは、上だけが糊付けされたもので、他の2つと比べると安価なものが多いです。
また、同じ名前でもパッドタイプの方は厚みが薄い水彩紙があるので要注意です。
まとめ:自分に合った紙を選ぼう!
以上、水彩紙の種類についてでした。
水彩紙は自分の描画スタイルに合ったものを選ばないと、描く時の楽しさが段違いです。
今回のブログの様なことは知識として持っておきつつ、色んな種類の水彩紙を実際に試してみるのが1番です。
皆様も良い水彩ライフを!ペイトでした!