MENU
カテゴリー
【PR】レンブラント水彩絵具についての記事はこちらclick!

福岡の老舗画材店!山本文房堂さんをご紹介するよ②【スタッフインタビュー 前編】

当ページのリンクには広告が含まれています。

こんにちは、しんせつなペイトです。

前回に引き続き、福岡の老舗画材店、山本文房堂さんのご紹介記事第二弾です。

7月某日、山本文房堂さんのご厚意でインタビューをさせていただけることになりました。

2時間半ほどお時間をいただき、取り扱っている商品や開催しているイベント、専門店ならではのお話など、みっちり聞かせてもらいました!

目次

山本文房堂 スタッフインタビュー 前編

今回、インタビューにご協力いただいた方です(ペイト含む)。

(ペイト):この記事の執筆者であるしんせつなペイト。画材沼にハマってはや数年の素人画材ブロガー。
(Ryoheiさん):Twitterでもお馴染み(?)のRyoheiさん。イベントへ顔を出されることも多い「自称なんでも屋」さん。
(Tさん):仕入担当マネージャーであるTさん。この道31年(!)の大ベテランの方。

てっきり、Ryoheiさんと売り場のスタッフさんだけだと思っていたので、まさか仕入担当マネージャーの方からお話を聞けるとは思わず…!インタビューではカットしていますが、驚きすぎてかなりあたふたしています笑

それでは、本編をお楽しみください!

Q.セヌリエを取り扱うことになった経緯

セヌリエを取り扱っていらっしゃいますが、リアル店舗で取り扱っているところは中々無く、初めて見たときは驚きました。
取り扱うことになったきっかけや背景など、教えていただきたいです。

(Tさん)
セヌリエをピンポイントで取り上げられるあたりが面白いなと思ったんですが(笑)、元々は水彩をもっと広めていきたいというコンセプトがあります。

画材店といえば油絵の具…油絵という一つの柱があるんですが、油絵をされる方が少しずつ減っていっていると。

じゃあその方々が今何をしているかというと、アクリルや水彩にシフトされた方もいらっしゃるでしょうし、子供の頃使った水彩絵の具の延長として楽しんでいらっしゃる方もいて、そういうところでもっと色々水彩をご紹介できたらという思いがありました。

また、世の流れとしても、2015年あたりから水彩にシフトしている感覚はありました。
できるだけ水彩を、と思ったときに、じゃあ何が求められているんだろうと。
色々な水彩の技法書を見ていると、先生方が「自分はこれを使っています」という感じで、チラホラとホラダムの名を挙げておられる。
じゃあまずはホラダムを置きたいと思ったのですが、それが2017年頃でした

うちは元々長いこと、ホルベインやクサカベ、ターナー、W&N、レンブラントは扱いがあるんですが、もう一つ(上下付ける訳では無いですが)上ということで、ホラダムを置きたいなぁと。

実際に自分で使ってみても、この濃密度は違うなと思いましたので、まずはホラダムをフルセットで入れる、ということを押し切りました(笑)

(ペイト)
すごいですね!押し切った(笑)

(Tさん)
ほんとに押し切ってしまいました(笑)

(ペイト)
当時は何か…例えば反発などありましたか?

(Tさん)
実際、お値段も張りますので、びっくりはされましたね。
ただ、九州で置くなら、ぜひうちでというプライドは多少なりともありました(笑)

(Ryoheiさん)
メーカーの営業マンからしても、九州のお店さん全体を見たときに、まずここに置いてほしいというそれぞれの思いがあると思うんですよね。
そこで当時、白羽の矢が立ちそうになったところに、Tの思いがちょうど刺さったんだろうなという。

(Tさん)
まぁ各地で広めていくにしても、九州だったらここと思ってもらったのもありますね。
ある程度ホラダムを紹介するのに、実はワークショップなんかもこっそりやっていたんですよ。

(ペイト)
そうなんですね!知りませんでした。

(Tさん)
先生たちに使ってもらって、やっぱりいいねということで商品が動くようになってきました。
そこに味をしめて…という訳では無いんですけれども、じゃあ更に、世界に他にどんなメーカーがあるんだという話をしていたところ、セヌリエがあると。

元々セヌリエというと、パステルの方が業界としては一般的ですが、水彩もあるんですね。
で、そちらもぜひ紹介していきたいと思ったところで、入れたのが一年後くらいでした。
2018年か19年か、そのくらいだったと思います。

やっぱりもっとみんなに知ってもらうためには、というのもありましたので、ちょうどその頃からSNSを意識するようになってきました。
うちのHPだけでは情報を出しきれないなと思って。売り場からもっと発信してほしいなというのもあって、やっとそこでInstagramを始めました。

(ペイト)
私もInstagramフォローしています!LINEの公式アカウントとも友達です(笑)

(Tさん)
やっとそこら辺から世間の波についてきました(笑)

(ペイト)
SNSを始める前と後では、何か変化はありましたか?

(Tさん)
影響はやっぱり大きいと思います。SNSを介して知りましたという方もお見えになりますし、最近だと、Instagramを韓国の方とか、海外の方が「見てるよ」と言ってくださいます。

(ペイト)
山本文房堂さんのGoogleのレビューを見たことがあるのですが、韓国の方がコメントを残されていてびっくりしました。韓国からもお客さんがいらっしゃるんだなって。

(Tさん)
Twitterも拡散力があるのでやりたかったのですが、どうしても相手とのやり取りが発生するということで、売り場のスタッフもそこまで手が回ら無かったら、逆に失礼になってしまいますので…

なのでそれよりも、これだけいろんな色材があって、見ただけで「わぁ、綺麗!」と思っていただけるような商材が沢山並んでいるので、画像がメインのInstagramをやりましょうことになりました。
その後LINEを始めるわけですけど、LINEもごく最近ですね。

(ペイト)
公式LINEでは、定期的にイベント情報をいただけるので、とてもありがたいです。

(Tさん)
やはり皆さんスマホベースで生活されている方が多いので、ここ(LINE)に届かないと意味がない、くらいの世の中になっているのは確かですね。

(ペイト)
SNSのアカウント運用はスタッフ皆さんでされているのですか?

(Tさん)
そうですね、HPは私が担当していて、Instagramは1階の画材と2階の額縁担当でやっています。あとは隠れTwitterが…(Ryoheiさんに視線を移すTさん)

(Ryoheiさん)
あれは非公式ですから(笑)

※Ryoheiさんは、山本文房堂さん非公式アカウントとして、お店の商品やイベント情報等を発信していらっしゃいます。

(ペイト)
非公式(笑) とはいえ、店舗の色々な情報をツイートされているので助かってます。

(Ryoheiさん)
インスタとHPが言ってない部分を埋めようというところで。
インスタがメインの人とTwitterがメインの人が別個にいるので、Twitterのほうのうち漏らしがあるのは嫌だな…というのがありました。だったらTwitterは私がやるから、そっちの方のユーザーさんを掴めたらいいなと思ってるんですが…
どうしても公式と言っちゃうとしがらみがあるので、非公式で気ままにやっています(笑)

(ペイト)
そのくらいのゆるさがちょうど良いと思います(笑)

Q.よく売れているジャンル・構成比について

山本文房堂さんの中で、よく売れているジャンル・構成比はどの様な感じでしょうか?

(Ryoheiさん)
水系(水彩やアクリル)が多分一番ですね。
油(絵の具)も、落ちてはいるんですけれど、大きくは落ちていないんですね。それでもやっぱり昔に比べると割合は逆転しているんですけど。
今は諸々ひっくるめて水系の絵の具の割合が大きいです。

(Tさん)
おそらく世界的にもそうなんだと思います。
油(絵の具)がなくなることは無いですけれど、少しずつシフトしていっている。

あと、海外のメーカーでは、油(絵の具)でも水に溶けるとか、そういう性質のものにシフトしてきています。
世界的に、エコだとか環境に負荷がかからないとか、そういう方向に流れが変わっていってますね。

(Ryoheiさん)
それこそ筆で言ったら、天然毛は世界では使われなくなっていってますが、日本ではまだありますし。
(天然毛の筆は)それこそガラスのショーケースに並べられるような分野になるかもしれません。

(ペイト)
描き心地とか水含みとかの点で、どうしても天然毛を選んでしまいがちなのですが、ユーザー側も合成毛にも慣れていかないといけませんね。

Q.山本文房堂さんで開催されているイベントについて

以前よりも、対面式のイベントが増えたように思えます。
(例:メーカーさんを呼んでの画材お試し会や、背景美術ワークショップ、美野島商店街でのイベント参加など)
こちらは何か理由などございますか?また、開催するに当たっての苦労話や裏話などもお聞かせ願いたいです。

(Tさん)
以前からイベントはやってなかったわけではないですね。知られてなかった部分もあるとは思いますが。
以前は、セールをやるときに筆のお試し会などやっていて、「実際に触れるとわかりやすいよね」というのが経験としてありました。
その上で、今どんどんそちらにシフトしているのは「モノよりコト」という部分が大きくて、
できるだけ経験してもらえれば、納得して商品を手にとってもらえるというプロセスを大事にしたいですし…
それきっかけで、「こういったものを置いてる店だったんだ」と認識してもらえることも大きいですね。

(ペイト)
そういうイベントを企画するときは、山文さんの方からお話をされるのか、メーカーさんからなのかというのは状況によりけりなのでしょうか?

(Tさん)
状況によりけりで、半々くらいかもしれません。
こういうのできる?っていうのはこちらからお願いすることもありますし、逆にメーカーから「こういうのありますよ」「東京でもやったので九州でもどうですか?」と言ってもらえることもありますね。

(Ryoheiさん)
ニッカーさんのイベントなんかは最たる例で、メーカーさんから「こういうイベントをやっているので、山本文房堂さんでもやってみませんか?」とお話しいただけました。

(ペイト)
美野島のイベントはどういった経緯で参加されることになったのでしょうか?

※美野島のイベント
福岡市にある美野島商店街で不定期に開催される、ミノシマアートストリートというイベント。
福岡を拠点に活動されているクリエイターさんが、ご自身のグッズ等を販売されています。

(Ryoheiさん)
あれは元々私がやりたいって言い出して。昔から専門店ってハードルが高いイメージがあるんですよね。
うちなんか特に、画材に馴染みがある方たちには良い意味で「専門店」と捉えていただけるんですが、一般の人はそもそも「画材」という言葉に馴染みが無くて、すごくとっつきにくい。

そのハードルを下げるにはどうしたらいいのかなと思ってます。お店で構えて待っていてもお客さんに入ってもらえないんだったら、そういうところにうちから出させてもらって、フラットな柔らかいイメージを持ってほしいなと。

「山本文房堂さんってこういうベントにも出るんですね、お話できて良かったです」という感じで、コミュニケーションを取る機会を持たないと、お客さんがどんどん遠ざかっていってしまうというのが強くあったので。

美野島のイベントは、たまたまCHIKAPPARTさんがビラ配りに行くって言うことで、連れてってくれたんです。
そこで運営されている印刷ラボの社長さんに紹介してもらって、「じゃあぜひ出てくださっていいですよ」と仰ってくださったのがきっかけです。

それまで美野島のイベントのことは存じ上げなかったんですが、アーティストさんがフリマみたいな感覚でやっているのがすごく良くて、「こういう場所だったらうちがでても、ずれやブレは無いかな」と思いまして。

先程Tも言いましたが、モノを売るよりコトを売らないといけないですし、そのコトも待っていても生まれないので我々から提供していかないと、と思っています。

お店は構えているけれど、でもお店はお店で営業していかないといけないというのがありますので、できるだけ対面式のイベントを月に一回はしたいですし、これから必要だと感じています。
待っててもお客様は来ない、というのが基本概念です(笑)

(ペイト)
自分からいかないと、というわけですね(笑)

(Ryoheiさん)
自分で行って、連れて帰ってくる(笑)
こうやって話して仲良くなることができれば、あの店にはあの人がいるということで来てもらいやすくなるのが一番いいですね。

(Tさん)
昔から入りにくいお店だと言われます(笑)
一個引っ込んだところにあるので、前を通る人にはなんの店?って思われてますね(笑)

(Ryoheiさん)
店の前に駐車場があるので、車が並んでたら何やってる店なのかわからない(笑)

(ペイト)
私も最初は入るのに勇気がいりました(笑)
自分のような素人が入ってもいいのかと、ドキドキした覚えがあります…!

(Tさん)
最初の一歩のきっかけづくりを、イベントとかを通して作ってもらえたらいいなと思ってます。
一回目のハードルをどれだけ下げて、リピーターになってもらえるかというのが今後の課題だなといつも思っているので。

(ペイト)
イベント関係では、他に何か考えていらっしゃることなどありますか?

(Ryoheiさん)
元々福岡自体がアート系のイベントが少ないですよね。

(Tさん)
都市レベルとしては、◯大都市というところに入ってくるとは思うんですけど、意外と文化的な要素がまだまだ足りていなかったりするんですよね。

(Ryoheiさん)
呼ばれ待ちになってしまうけれど、出張でお店を出すような、美野島みたいなイベントがあれば…まぁちょっと人員が限られているので私が出向くんですけど(笑)

(ペイト)
大体いつもイベントにはRyoheiさんが出られていますよね(笑)

(Ryoheiさん)
もし出られるのであれば九州コミティアとか。

(ペイト)
九州コミティアいいですね!親和性が高そうです。

(Ryoheiさん)
コミティアは一次創作がメインじゃないですか。デジタル勢も多いですけど、アナログの方も多いので。
そういうところで、デジタルの人たちと話しながら、アナログの良さを伝えられればいいなと思っていて。

あとはうちを会場にしてメーカーショーをやるとかですね。
2022年5月にyamabum ArtWeekという、日替わりでメーカーさんに来てもらうイベントをやったんですが、あれはメーカーさんに無茶振りして来てもらいました。

今はインターネットでも商品を買えますが、ネットと実店舗の差別化ということを考えたとき、実際に触れて、確かめて、納得して買ってもらえるということに重きをおいて何かをやらないと、という思いがありました。

(Tさん)
店舗である意味ですよね。

(Ryoheiさん)
今これだけ価格も上がっていて、一昔前のようにさらっと買えるものじゃ無くなってきていますし。

(Tさん)
塗り見本を見てから買いたい、とかありますよね。

(ペイト)
わかります!実際の色を確かめて買いたい…!

(Ryoheiさん)
使い心地もそうですし、サイズ感とか、そういうのが確かめられるのは実店舗の良さだと思います。

Q.お客様の変化について

ここ数年、画材の値上がりなどもあり、お客さんがだんだん減ってないかのいうのが気になっていて、陰ながら心配しています…
その辺って変化とかあったりしますか?

(Ryoheiさん)
10年単位でいうと減ってはいます。
コロナ一回挟んでがくんと減りましたけど、今は明けて戻ってきています。

(Tさん)
新しいお客様も増えていると思います。
油絵が少し下火になってきているというのもありますけど、新しく水彩を始める方もいらっしゃって、そこで少しお客様の入れ替わりが進んでいる段階にあるんでしょうね。
新しい画材を紹介することで、新しい趣味を増やしていただけるように…とは考えています。

(Ryoheiさん)
うちは幸いなことに海外のお客さんも多くて、お問い合わせしてくださってお店に来られた方もいらっしゃいます。
地域によっても海外のお客様の傾向って違うとは思いますが、うちの場合は日本画用品を買っていかれる方がほとんどです。

(Tさん)
大本のルーツで行くと中国だとか、あちらの方だと思いますが、均質にきれいなものを作れるといったところからも日本のものを買われているのかもしれません。

(Ryoheiさん)
あとは、向こうで買うよりこっちで買ったほうが安かったり…というのもあるようです。

後編はこちら!

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

シェアはこちらから
  • URLをコピーしました!
目次